電動カフェレーサーARCベクター

ARCベクターとは?

2018年に開催されたEICMAでは、世界中のバイク関係者の注目を集めた発表がなされました。
それは、ARCベクターというバイクが開発され発売を待っているという発表でした。
このARCベクターとは、カフェレーサースタイルの電動バイクです。
すでに世界中のバイクメーカーによって電動バイクの開発は進められていましたので、それ自体は普通のことなのですが、ARCベクターはなんと1,200万円を超す価格での発売を計画しているとの発表がなされたのです。
その値段と構想に大きな反響があったのです。

2018年に発表されたこのARCベクターは、2020年の末には量産が始まって市販されることになりました。
最初のモデルについては基本的に受注生産となり、399台の限定数が初回受注対象となっています。
その触れ込みとしては、世界最先端のテクノロジーとアイディアを詰め込んで、電動バイクということだけでなく一つのバイクとして最高スペックのマシンを送り出すというところが強調されました。

ARCベクターのスペックと特徴

そのARCベクターがアピールした最先端のテクノロジーとしては、カーボンモノコックと最先端素材によるスイングアームや、ヒューマンインタフェーステクノロジーなどが特徴的です。
ホイールはレース仕様となっていて、軽量さと堅牢さを同時に実現したものとなります。
そして、電動バイクの中心をなすバッテリーは当時最高峰の密度を持つバッテリーセルを採用することで、高出力かつ長距離の走行を可能とする性能を持っています。

高い走行性能をバランスよく保つために、専用に設計されたサスペンションとブレーキシステムなどを搭載して、レーシング技術の粋を詰め込んでいます。
また、独特の構造も注目度の高い部分で、カーボンモノコック自体は他のバイクメーカーでも採用されるケースも見られますが、ARCベクターではそれを電池モジュールとセットにしているのが特徴的です。
一つの構造体となるように組み込むことによって、省スペースかつ軽量化を図ることができます。
モノコックの中にバッテリーやモーターなどのパーツをセットにすることによって、全体の強度を高めることが可能となります。

他にも、航空機において使用されるレベルの品質の高いアルミを多用するなどして、モンスタークラスのパワーを持つマシンなのに220kg程度の車重に収められるという点も驚異的です。
それには、アルミだけでなくカーボン素材を随所に用いていることも関係しています。
スイングアームは、MotoGPでも活躍するRibaとの共同開発でカーボン製のパーツを作り上げています。
こうして、大胆な発想と最先端の技術、細かなところまで妥協しない作りがARCベクターの大きな特徴となっているのです。