スズキのチョイノリとは?
かつて、国産でありながら約6万円という驚異の原付がありました。
約10万人が購入したと言われている、究極までシンプルを追求した原付バイク、それが「チョイノリ」です。
見た目の可愛さ、オモチャ感から大衆に愛される所以の1つです。
原付ながら10万円以下で買えるという安さの秘密は、究極まで部品の数を減らした事につきるでしょう。
レッツという原付が470近くの部品で作られるのに対し、チョイノリはなんと310点ほどの部品で構成されています。
そのため車重は40kgほどと非常に軽く、部品が少ない分、人件費や生産の手間が減らせるだけでなく、生産にかかる排ガスも減少できる究極のエコバイクでもあります。
安くて、多くの人が幸せになれるため努力するという、SUZUKIの車にもバイクにも共通する理念が活かされた1台です。
左ミラーもなければ、セルスターターもメットインもありませんし、リアサスも燃料系もありません。
チョイノリはキックでスタートする機種で、エンジンは耕運機ベースのOHVです。
速くはないが、乗り心地は悪くない、それがチョイノリで、シンプルゆえに自分でカスタムできる自由さも人気の理由です。
このチョイノリは、2023年10月26日~11月5日に東京ビッグサイトで開催されるジャパンモビリティショーで「eチョイノリ」としてスズキから電気版として復活しました。
「名前だけの別物でしょ」と思われる方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
eチョイノリは、フレーム、外装は本物のチョイノリを流用しているので、見た目も過去のチョイノリとほぼ同じ、シンプルデザインとなっています。
2023年版チョイノリの仕様は?
全長×全幅×全高は1500×600×1015mmで、シート高680mm、タイヤサイズは前後ともに80/90-10です。
サイズ感、外装はチョイノリそのものですが、パナソニックの電動アシスト自転車の動力を使用した「原付一種EVスクーター」としてバージョンアップしています。
パナソニックのバッテリーは約3kgと軽く、取り外しや交換可能なので、自宅に持ち帰って楽々充電できます。
チャージは100Vのプラグインで、すでに電動アシスト自転車を持っている方なら、自転車のバッテリーをそのまま使うこともできます。
2025年を境に原付の多くは生産終了を予定しており、まさに絶滅間近ですが、部屋でスマホのようにバッテリーを充電できるのであれば原付バイクが電気により持続できる、そんな可能性も出てきます。
今回のジャパンモビリティショー2023年への出展は、あくまでも参考出展であり、市販できるかは不透明ですが、やる気になれば販売もきっと可能なはずです。
新しい原付バイクのスタイルとして、チョイノリが大きな位置を占める、そんな日が来るかもしれません。